蘇った!ペンタの蹴球日記

あの世から蘇ってきた蹴球老人の日記

ラディカル・チェンジとな!?

オランダ代表がユーロ予選で敗退してしまった。

 

「オレたちほんとは攻撃的サッカーで勝ちたかったもんね」と選手が思ってしまったのが敗因であるという節がある。

 

ありそうな話である。

 

オランダ人程、サッカーの内容にうるさい国民は少ない(会ったことはないが)。

 

「試合には負けたが、美しいサッカーをしていたのは、オランダだった」というのが

口癖の国民じゃ。

 

負け惜しみとも思えるが、かのミケルスとクライフ擁するトータルフットボールを産んだ実績があるので、空威張りだけでもない。

 

そいつらが、ブラジルワールドカップでたとえ勝ったとは言えスペインに対し、

ドン引きから~のロッベン頼みサッカーをしてしまったわけである。

世にも醜いサッカーをしてしまった。

 

この屈辱に、国民も選手も深手を負った。

 

サッカー後進国に住むわしでさえ、南アフリカの岡田の試合を見て、

天下に恥をさらしてしまった、という屈辱を感じたのであるほどじゃから、

プライドの高いオランダ人なら、今度こそは攻撃的なサッカーで勝ちたい、と思ったという説も充分ありうる。

 

他方、スペインはどうやらまずまずのようである。

シャビが引退し、イニエスタが怪我をしていても、セスク、シルバ、イスコ、アルカンタラと、次世代が次々に名乗りを挙げている。

 

ゴールキーパーデ・ヘアもすげー)

 

ブラジルワールドカップでは、ひどい目に遭ったとはいうものの、

やるべきサッカーは大きくは変わらない。

 

☆     ☆      ☆

 

さて、日本代表である。

 

日本代表の監督が、就任して半年経ってから、「クロップ前監督のドルトムントみたいなゲーゲンプレッシングサッカーをやりたいもんねー」と言い出した。

 

そのアイディアを得意になって「ラディカルチェンジ」と名付けて

喜んでいるようじゃが、まったくそれで良いのだろうか?

 

半年経った今になって?

今更守備の方針が出るのか?

それじゃ、今までは何だったのか?

 

守備の約束事っていうのは、最初に取り組むべきことじゃないのか?

その監督の哲学が反映されたものなのじゃないのか?

これはチームのベースであって、これを変更するなら、監督が代わった方が早い。

 

迷走もほどほどにしてほしいものである。

 

☆     ☆      ☆

 

さて、話は攻撃的と、守備的というところに一度戻す。

 

この世には、攻撃のために考えられたシステムと、守備のために考えられたシステムというものがある。

 

ほんとは、そんなに簡単な経緯ではないのじゃが、ここではそういうことにしておこう。

 

中盤フラットの4-4-2。

 

これは、このような形で選手を配置すると、ピッチの中をスペースを埋めることができる、という発想で現在用いられている。

 

つまり守備時において、一度リトリートし素早くディフェンスの4、中盤の4の2ラインを敷くことによって、左サイド、中央、右サイドのいずれにも隙がないように備えるというシステムである。だから、このシステムを敷くチームは、たいてい守備的であるし、この4-4-2の形は守備のときにこそ現れるのである。

 

さて、他方で、バルセロナが世界的に流行らせた4-3-3。あるいはオランダ人が考案したという噂の3-4-3は、攻撃のためのシステムなのである。特に3-4-3は、この形に選手を並べたときに、最も三角形が多く描けるということからという発想で用いられている。三角形というのは、パスコースを常に複数にしておくことを保障するためのもので、つまり攻撃を意図している。

 

極端な例であるが、好調時のバルセロナは守備時においては、システムがない。相手ボールになった瞬間、暴力的なまでに前へプレッシングをかけ奪いきろうとうするため、そんなものには構っていられないのである。あるのは、プレスをかける者と、カバーをする者という役割分担。相手を囲いこみ、局地的に多-少をつくり、奪いきってしまうこと。そして、その囲いが突破されたときの、カバーだけである。

(実はこれは相当に難しい守備だと思うのじゃが)

 

ということで、この世には、システムがいろいろあるのじゃが、実はそのシステムを発送した「理由」というものが背景にはある。

 

さて、ここから更に書くべきことは多い。

 

☆     ☆     ☆

 

岡田が、南アフリカで採用した4-1-4-1は、4-4-2を更に守備的にしたもので、守備、中盤の2ラインの間に、FWの一人をさげてフォアリベロのように置くのであるから、まーどんだけ守るのかよ?という布陣である。攻撃は、運に任せ、人間はとにかく守備のことを考えよう、そのくらい守備的である。

 

だから攻撃しようと思っても、できない訳である。

 

あの大会、日本のパス成功率は参加国中最下位であった。なら、すごいドリブラーがいたかといえば、そんなこともないわけで、ま、攻撃して勝てるチームではなかった。守りまくったら、相手が勝手にこけたり、本田、遠藤のフリーキックが入っちゃったりして、勝っちゃっただけなのである。

 

さて、ザックのシステムについては以前も書いたとおり、3-4-3でも守備的なシステムである。中盤の4の両サイドに、長友、内田を置いたわけで、どれだけデイフェンダーを並べれば気がすむのか?という布陣であった。

 

もう、攻撃となれば、両ワイドから縦に突破しか考えないような戦術で、トップにデカい選手のいない日本はそれで得点が取れたのだろうか?まぁ、その前に選手がなじめず、結局本格的な採用には至らなかったのであるが・・・

 

☆     ☆      ☆

 

などと、つらつら思い付くままに書いていたら、何を書きたかったのか、忘れてしまったのじゃ。

 

じゃが、ここまで書けば気づく人は気づくに違いない。

 

採用するシステムと、戦術というものは切っても切れない関係にあるということじゃ。そして、その戦術にはまる選手というものもいる。

 

☆     ☆     ☆

 

たとえば、最近書いたビエルサ一族のサッカーには、特にFWに献身的なハードワークを厭わない選手が必須である。必須アミノ酸である。必須アミノ酸と書きたかっただけなのじゃ。

 

サッカーの一流国でない自覚のあるチリが成功したのも、「うちら一流じゃないから、懸命にやるもんね」という必死な選手がそろっていたからじゃと思う。

 

他方で、日本代表で何が起こっているかというと、なんだか香川、清武、南野という似たような選手ばかり選んでいるような気がしてならない。彼らは献身的なタイプではなく、うまい系じゃとわしは思う。ここに本田という王様も加われば、守備に仕えない人間ばかりになる(ま、原口はちょっと変わったという気もする)。

 

これからの代表に必要なのは、うまくしかもハードに守備できるやつである。ま、岡崎ね。

 

で、アホハリは、ハイプレス、ラディカルチェンジ(なんのことはない攻守の切り替えの早さであるが)と言いながら、ハードワークが得意でない選手を起用したり、選出しているわけで、頭がないのか、嘘つきなのか・・・・しかも、選手たちはそんなサッカーをやる気配もなく、たぶん現場は相当に混乱しているのじゃろうな!

 

などと推理しながら見るのも楽しいが、はて、ラグビー代表は果たしてどうして勝てたのじゃろう・・・

 

☆     ☆      ☆

 

今夜はこの辺で!