蘇った!ペンタの蹴球日記

あの世から蘇ってきた蹴球老人の日記

いわしのせいなのか?

前日練習をフルで公開した佐々木監督は、「もう隠すものはなにもない」と言っていた。

 

他方で、アメリカ代表は非公開で入念にグランダーのコーナーキックフリーキックからの得点パターンの練習をしていたに違いない。

 

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フィジカルと球際に当たりの強さで、相手陣内に押し込んで押し込んで、セットプレーからゴールを奪う、これは日本人には好かれないが立派な戦術である。特に、男子サッカーの年代でいうと、ジュニアユース年代までは極めて有効で、ガタイのよい選手、足の速い選手が揃ったときはこれで結構簡単に得点が奪える。そういう言い方をすると、まるでこの戦術が幼稚なもののように聞こえるが、そのとおりである。少なくともわしは好きではない。まるでサッカーでないように思えるのである。

 

昨年のリーガエスパニョーラを制したアトレティコも、この戦術をベースにしている。もちろん、守備などはずっと洗練されていたし、攻撃陣もすばらしい選手が揃っていたが、ま、ベースはかなり原始的とも言えるフィジカル任せ、闘争心任せである。

 

昨年、Jの監督の間では、一気にこのシメオネのサッカーの評価があがったが、日本人が真似をするサッカーではないと思う。

 

とは言うものの、うまい系としては日本人は世界でろくに戦えないレベルであることが、ジーコのときとザッケローニにときで十分証明されたわけで、ハリルホジッチの指摘どおり、もうちょっとフィジカル、接触、闘争心で底上げしないと、とんだお嬢さんサッカーになってしまう。

 

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さて、アメリカ代表は予定どおり、コーナーキックを得た。そこで準備どおりのグランダーのボールをゴール前に送る。見事なボールである。高さに負けないことを気にかけていたなでしこの、完全に裏をかいた形になった。

 

2点めも、フリーキックからの見事なグランダーのボールであった。

 

これは、決勝戦以外では見られなかった戦法なのだろうか?

 

わしの意見では、相手に対するスカウティングが少したりなかったのではないかと思う。

 

グランダーのキックは、地面近くを飛ぶボールであるから、背の低いなでしこにも、触るチャンスは平等にあった。

 

要は、わかっていれば、やられなかったパターンなのである。 

 

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さて、3点目は、岩清水が素人ようにボールに対して「ごめんなさい」をしてしまった。そして、頭の頭頂部にあててしまうヘディングをしてしまった。ごめんなさいヘディングである。これは目測ミスか、ボールの変化があったか、判断に迷いがあったに違いない。あまりないミスであるが、まったくないわけではない。

 

力のないごめんなさいヘディングをかっさわれてしまった形になったのじゃが、ごめんなさいヘディングではなくても、岩清水のような背の低いCBは、ゴール前の危険なゾーンで弱いヘディングクリアをしやすいのはもともとわかっていたはずである。

 

人間は、伸びきった体勢になってボールを受けると、実に無力になる。ボールは、ぽとりと目の前に落ちる。あるいは、真上に上がる。

 

これはもうヘディングする前から予測できることで、この感覚がわからない人間は、球技をやめた方がよい。バスケでも、バレーボールでも、伸びきった体勢でボールに触れそうになった味方をケアしてやるというのは、当然のことである。すこしセンスのある人間は、みなやっている。

 

岩清水が、危険なゾーンで弱いクリアをしがちな選手であることは、相手に察知されていた可能性が高い。

 

それに対して、逆にこちらはもっと準備をしておくべきだったように思う。

 

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4点目は、カイホリのポジションが高いのをやられた形だが、これも相手に逆に研究されていたのではないだろうか?

 

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このように見ると、岩清水の高さに対するコンプレックスを見事についた作戦があたっていることに気づく。

 

それを徹底的についてきたのは、アメリカのスカウティングも含めた組織力だったように思う。