蘇った!ペンタの蹴球日記

あの世から蘇ってきた蹴球老人の日記

欲と徳

FIFAの元副会長ら7人が、ワールドカップ招致にからむ収賄容疑で逮捕されたというニュースが飛び込んできた。

サッカーと汚れたお金の結びつきの深さを示す暗いニュースである。
いや、フツーのニュースである。

 

わしが以前書いたとおり、人間はお金を持てば持つほどモラルが低下する。これは「重力の法則」ほど厳しい法則であり、免れにくいものである。

 

モラルが低下すると、組織のためではなく自分の為に袖の下を要求したりする。
要求する「力」の根拠が、自分個人にあるのではなく、組織のお蔭であるにもかからわず、である。


このように、モラルが低下した人間の行動は、分かりやすく欲深い。

 

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じゃが、世の中よくわからない人物もおる。

 

その人の行動が、組織のためなのか、個人のためだったのか、判断が難しいのである。


元IOCのサマランチ会長は、オリンピックへのプロ選手の参加を押しすすめた人として知られる。
今でこそ、サッカーはプロ選手が五輪に出場するのは当たり前(ただし年齢制限があるが)じゃが、むかしは五輪と言えばアマチュア選手のみが出場していた。

それを世界最高水準の大会にしたいというサマランチの野望のおかげで、少しずつプロ選手の参加範囲が広がっていっているのである。

 

また、サマランチはIOCのコマーシャル化を推し進め、ショービジネスとして成功させ、財政を改善した。同時に、様々な利権が発生し、贈収賄の噂も付き纏うことになる。


スペイン出身で、フランコ独裁政権時にはその下で政治家として活動した記録もある。

つまり、レアル・マドリード側の人間なのである。

金と支配欲に塗れているように見える人物である。

 

ところが、実際は、この人はカタルーニャの血が流れていたらしい。
つまり、本当のところバルセロナ側の人間だったのである。

 

スペインでのオリンピックが、首都マドリードではなく、バルセロナで行わたことは、この人の力なくしては考えられないことだ。

実際この人は、恐ろしく独裁的な人だったらしく、相当強引な手腕でバルセロナ五輪を決めてしまったのではないだろうか?

そして、バルセロナ五輪の開催によって巨額な投資が行われたお蔭で、
人気ナンバーワンの人気観光地の基礎が作られることになったわけじゃ。

 

あの、ガウディのサグラダ・ファミリアの建築予算も、バルセロナ五輪以来画期的に増えたということである。

ヨハン・クライフバルセロナで監督をしていたのも1988年~1996年であり、
世界的にバルセロナブームが始まった時期とちょうど重なっているのである。


すべては、サマランチによって始まったことなのじゃ。

サマランチは、
自分の欲望を満たすために生きていたのか、
故郷のバルセロナを国際都市にするために生きていたのか、
よくわからないところがある、というのはこのことである。


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どうせなら、よく分からない人間でありたいものである。