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蘇った!ペンタの蹴球日記

あの世から蘇ってきた蹴球老人の日記

対キルギス戦

「この時間に彼は技術がぶれないということは、もうなんて言ったら好いんでしょうねぇ」山本昌邦は言葉をのみこんだ。

 

キルギス戦の後半ロスタイムに、久保はチーム8点目となるゴールを決めた。彼は相手のディフェンスラインの間でボールを受けると、効き足の左足のアウトサイドで、ちょんちょんちょんと3度ボールをつつき、わすかな隙間を見つけシュートを打った。

 

山本はプレーが途切れるのを待ちながら(すぐにまた日本のチャンスが訪れていた)、頭の中を整理し、時間帯のこと、彼の年齢のこと、そして守備をさぼっているわけではないこと、「にも拘らず」久保が素晴らしいゴールを決めたこと、その価値を付け加えた。

 

しかし、山本がこの僅かに言いよどんだ時間の間に、わしの頭は別の言葉を浮かべていた。

 

「これはもう、何って言ったら好いでしょうねぇ・・・・」わしは思った。「そりゃ、もう小野伸二以上ということじゃろうて!」

 

☆     ☆     ☆

 

ブラジルワールドカップ以来、わしは日本人の「うまい系」にすっかり懐疑的になっている。それはこのブログにつらつら書いて来たので、ここでは繰り替えさない。

 

スペインリーグでは先日触れた玉野淳だけでなく、中村俊輔も通用しなかった(怪我もあったらしいが)し、家長もダメだった。乾も難しいシーズンを迎えている。

 

「清武、どうなんでしょうねぇ」

先日、ニュータウンの人口芝の上で、TN先生にそう尋ねた。

「通用しないんじゃないすかねぇ」

TN先生は悲観的だった。わしも同様である。

 

その後、リーガが始まり、清武は素晴らしいスタートを切った。代表戦後も、アシストを決めていて、なかなかの活躍である。

 

だが、わしはまだ楽観的になれない。

さて、時間は、少し戻って、7月のニュータウン人口芝に。

 

わしは再度尋ねた。「日本人は、リーガじゃ通用しないんですかね?」

TN先生は少し考えて、「小野伸二だったら通用したんじゃないですかね?」と言った。

わしも少し考えて、「そういや、小野伸二がオランダにいたころ、バルセロナが興味を示しているという時期がありましたね。シャビの控えじゃないかっていう憶測でしたが。小野だったらそれくらいは充分できたんじゃないですかね」

 

☆      ☆      ☆

 

1999年のワールドユース優勝チームと準優勝チームのキャプテンは、その後のサッカー人生において大きく明暗が分かれることとなった。クラブチームでも、ナショナルチームでも、世界1に輝いたシャビ。掴めるものは、ほぼ全てを手に入れたと言ってよいだろう。他方で、小野は怪我に悩まされ、不遇の天才としてキャリアを終えつつあるように思う(勝手に失礼だが)。

 

だが、考えてみると、卓越したボール技術とサッカーセンス、そして周囲を使って自在にボールを回すのが得意という意味では、二人はかなり良く似た才能の持ち主である。

 

小野にバルセロナが興味を示したのは、わしの記憶が確かであるならば、2008年のあのスペインとバルセロナの快進撃以前の話。シャビもまだ、ダービッツやデコの影に隠れ、本来の輝きを見せ始める前のことだったと思う。

 

だが、バルセロナは、このカンテラ育ちの才能の重要性を分かっていた。

 

サッカーがうまいということの本質を理解していたのじゃと思う。だから小野伸二に目を付けたのじゃないかと思う。

 

☆     ☆     ☆

 

さて、久保である。久保は実際にバルセロナカンテラの一員だったわけであるが、その才能というものに、わしはまだ疑問を抱いている。

 

理由はいくつかあるが、それは日本人の「うまい系」にもう騙されまいと用心する癖がついてしまっているせいもある。期待して、裏切られたくないのじゃ。

 

とほほ。

 

それから、日本人の17歳の壁というものにも、先日触れたところである。

 

久保は、「うまい系」であり、まだ15歳である。18歳になったときも、まだ「うまい系」として通用するのか?

 

☆     ☆     ☆

 

バルセロナは、久保が18歳になったときに、契約し直すことを希望しているというが、現在の活躍ぶりを見るとそれも頷ける。いかにもバルセロナ好みの選手である。

 

わしの目からしても、久保は小野伸二を超えつつあるように思う。

久しぶりの、文句のない「うまい系」に育ってほしいものである。

 

☆     ☆     ☆

 

さて、各国のリーグが始まり、先日などはマンU対マンCという豪華な対戦もあった。モウリーニョグアルディオラのライバル対決でもあったらしい。

 

バルセロナから移籍したブラボはかなり苦しんでいた。あれほど見事にバルセロナのキーパーを務めていた男が、である。世の中わからないものである。

 

マンCは、以前からボールポゼッション系のチーム作りを目指していて、その延長線上で、最後にグアルディオラを招聘してタイトルを獲得しようという魂胆であるのじゃろう。というか、そんなことは明々白々なのであるが、この日の試合を見る限り、何かが足りない。なんていうか、シャビとイニエスタが足りないのかもしれない。ダビド・シルバは全盛期を過ぎてしまったかのように思う。

 

マンUの方はもっと足りない。

 

この試合、すげーと思ったのは、ポグバである。やはりユーロのときは手加減していたらしい。ポグバの身体の強さは、プレミア向きであるし、たぶんこれから無茶苦茶すごいことをやりそうである。

 

☆     ☆      ☆

 

バルセロナが有力選手を休ませたらアラベスに負けてしまったのに対し、レアルはクリロナとベイルを休ませてエスパショールに勝ってしまった。

 

試合後のジダンはほくほく顔である。人がニタニタする様は、なんといやらしいことであろう。あのジダンでさえも、なんだかいやらしい人みたいであった。それほどうれしかったのじゃろうが・・・・

 

ま、言いたいことは、バルセロナと言うのは、適応するのに難しいチームじゃということである。

 

シャビからラキチッチへの交代は、非常にうまくゆき、これがチーム戦術の転換と非常にフィットしている、このことは昨年書いたとおりだ。もう一つ、ペドロとスアレスの交代も大きかった。この二人の存在が、グアルディオラ時代の成功とはまた別の成功を導いている。

 

今年の課題は、だが、Bプランをどうするか?である。

 

見渡してみると、ラキとスアレス以外、あまり適応に成功したという選手を見かけない。アルダはまだ難しいところだし、デニスも怪しげである。ブスケツの控えとなると、ラキでさえ心もとない。パコもまだ苦しんでいる。

 

あ、ウンティティはすっかりなじんでいる。

 

他方で、Aプランにも少し心配の種が見え隠れしている。どーも、マスチェラーノの様子がおかしい。昨年までは見られないようなミスが目立つ。

 

それに、テア・シュテーゲン・・・この人は、アヤックスバルセロナ系のゴールキーパーとして、非常に雰囲気のある人だと思う。小柄だが、スピードがあり、足元の技術も高い。DFラインを高く設定することの多いバルセロナには欠かせない、広大なスペースを埋めることに長けているように思う。だが、若い頃のビクトール・バルデスと一緒で(あるいはそれ以上に)、ポカが多い、てか目立つ?

 

常にレアルの上を目指すことが義務付けられたような近年のバルセロナとしては、ちょっと「軽い」。

 

更に、エンリケの采配も大丈夫かという点がある。

 

負けてしまったアラベス戦では、相手の5バックをとうとう崩せなかったし、その反省点からか、レガネス戦では3-4-3を採用したが、守備は崩壊していた。

 

MSNの破壊力で快勝したように見えるが、監督の立案した作戦としては不出来で、不細工な勝ち方であった。

 

Bプランを試しつつ、相手の戦術に対応しつつ、勝ち続ける。これは本当に大変なことじゃ。

 

ということで、明日のアトレティコ戦で、今年前半のバルセロナのレベルというものが見えてくるのじゃろう。

 

今夜はこの辺で。