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蘇った!ペンタの蹴球日記

あの世から蘇ってきた蹴球老人の日記

コンパスターン

どうもわしは枝豆が大好きなようで、目の前に枝豆があるといつの間にはそれがなくなってしまう、という夏の怪談話のような現象をしばしば経験する。

 

先週の木曜日も、あっという間にどんぶり鉢山盛りの枝豆がなくなり、恐怖に震えた。そしてしまったと思ったのである。木曜日の夕方には、わしは水泳教室に行くことにしたのである。

 

☆        ☆        ☆

 

「こんばんわー!」

 

小池栄子風のその美女は、わしが教室用の指定されたレーンに入っていくと、真っ直ぐにこちらを見て、にこやかに挨拶した。肩の筋肉と胸筋の発達具合、腰のくびれ、只者ではない。わしは、この人こそ我が水泳教室の先生じゃと思い、こんばんは!と元気よく挨拶を返した。

 

『おお!わが愛しの小池栄子先生よ!』

 

わしは喜びにひたりながらウォーミングアップ代わりに25メートルプールをだらだらとウォーキングをしながら往復した。

 

スタートに戻ってくると、生徒が揃っていてひとりの女性を囲んでいる。その女性は、明らかに60歳以上のおばあちゃんで、お腹がぽっこーんと膨らんでいる。

 

「お!新入り?」

わしを見て、がはははと笑った。そして、自己紹介しな、と言う。

 

「ペンタ・ペンのすけです。肩こりがひどくて教室に通うことにしました!」

 

「わたしは、KW田です。じゃ、みんなもペンタさんに向かって自己紹介」

 

まぁ、先生は美女であっても、老女であってもよい。お腹ぽっこーんでもよい。問題は、教室に美女が所属しているかどうか、である。

 

木曜日のその教室は、どういうわけか30歳から50歳くらいまでの女性ばかり5人いて(普通年齢層はもっとずっと高い)、なかにはアニメ声を出す女なんかもいたり、仕草がロリっぽいおばさんがいたり、同じおばさんでもなかなか華やいだ雰囲気である。

 

しかし、そういう華やいた雰囲気はうざいのである。わしはただひとり、小池栄子風に目を奪われていたのである。

 

さて教室が始まるとわしは気張って泳いだ。

 

自慢じゃないのであるが、わしはクロールだけは得意である。中学校、高校と水泳部以外に負けた記憶がない。ま、くだらないレベルであるが、得意なことは得意なのである。結局、自慢してしまったのであーる^^;

 

そして、教室はクロールで始まったのである。わしは今こそ自慢のクロールを小池栄子風に見せつけなければならないのであーる。

 

数往復すると、KW田先生が言った。「あんた、結構泳ぐね。すぐにも中級に行けるよ」

 

5人の女子たちは、全員目が♥♥である。男性たちの目は嫉妬で冥く光っている。

 

わしが見たとおり、小池栄子は女性の中では最も泳ぎが早く、男3人のすぐ後を泳いでくる。わしは男性3人の最後を泳いでいるので、わしのすぐ後を泳いでくるのである。

 

そして、25メートル泳ぎ終わると、わしの隣でほかの女性陣が泳いでくるのを待つ。

ほかの女性たちはなかなか泳いでこない。

 

やがてわしと彼女は話しはじめた。

「ペンタさん、すごく速いですね。おいつけない」

「いやいや、おたくさんこそ、すばらしい泳ぎじゃて」

 

わしらの間には、初級教室のなかで飛び抜けて泳ぎがうまい者同士何か共感しあうものが通いはじめたのじゃ。

 

「結構、泳ぎにいらっしゃるんですか?」

「いや、以前水中ウォーキングをしていたことはあったのですが・・・」

 

彼女は泳ぎ終わると、すぐに胸の水着の位置を直す癖があって、ついついそのあたりに視線が釘付けになる。いかんいかん、わしは無理やり視線を彼女の横顔に戻して、話題を探した。

 

ところがである。その瞬間に、わしのお腹の中の枝豆が、デモを始めたのである。しかも、突然の、猛烈なデモである。

 

水中の、油汗なのである。どうやら水温に適応できなかったようで、わしの腸たちは、枝豆のデモを食い止めることができないようじゃ。切迫感なのである。せつないのである。

 

いや、しかし、隣には小池栄子なのである。ここで負けてなるものか。

 

いやいやいや、美女など構っている場合じゃないほど、枝豆たちは暴れまくっているのである。

 

いや、しかし、こうして泳ぎが得意な者どおし、共感もしあっているのであるからにして。

 

しかし、枝豆はわしの腸をぐるぐるまわり、肛門へ突撃しそうな気配である。

 

「KW田先生!ちょっとトイレに行って来てよいですか?」

 

☆        ☆        ☆

 

さて、今週の木曜、すなわち、今日のことである。

 

わしは今日こそはと思い、枝豆が目の前から消えてなくならないようにくれぐれも注意しながら過ごし、家を出た。

 

更衣室で着替え、冷水機で水を飲み、トイレにゆっくりと入り、コースに向かった。準備万端なのである。

 

小池栄子は今日もいた。ほかの女性たちも同じメンバーである。よく見ると皆なかなか可愛い感じである。しかし、中でも小池栄子は美しい。

 

彼女は男前な性格であるらしく、女性たちに囲まれ、話しかけられているのであるが、泳ぎ始めると、やはりわしの後になり、健気にも必死に追いついてこようとする。

 

そして、「やっぱり追いつけなかったー」と残念がっては、わしの隣に来て、ほかのメンバーが来るのを待つのである。そしてわしらはたわいもない話をしていたのである。

 

ところが1時間の教室のうち、15分も経たないうちに、今度は絶望的に膀胱で騒乱が起こってきたのである。さっき、喉が渇ききっていたので、冷水機で水をたらふく飲んでしまったのである。

 

わしは、顔をひきつらせながらもなんとか練習をクリアしていた。

 

今週も途中でトイレに消えるようなことになると、教室中の笑い者になってしまうじゃろう。そして、「とにかくトイレの近いオヤジ」というレッテルが見事に貼られてしまうじゃろう。そして、一番悲しいことに、小池栄子から哀れみの目が見られてしまうのじゃろう。そう思って、わしは我慢に我慢を重ねた。

 

しかし、最後10分になり、スタート地点付近に全員が集まってKW田先生の平泳ぎのかきの手本を見ながらわしはとうとうチビってしまったのじゃ!しかも、悲しいことに一度ちびると、止まらないのである!

 

出る出る出るよ!止まらんよ!世界のうちで、オイラほど!

 

わしは、やけくそになりくだらない歌を頭の中で歌ったのである。

 

わしの隣には当然のことながら小池栄子がいて、真剣な眼差しで先生のかきかたの説明を聞いている。

 

小池栄子は真面目な男前の性格なので、先生の手本を見ながらも自分でもやってみるのである。水面に顔を潜らせ、かきかきやるのである。

 

その視線の先のわしの水着からは・・・・・

 

☆        ☆        ☆

 

さて、当然のことながら、このブログはフィクションであり、登場する人物や団体は架空のものなのである。

 

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ということで、わしのブログで最近人気なのは、「コントロールの種類を増やす」という記事らしい。すこし前までは「密集と隙間」という記事だったのであるが、最近これを抜いてトップに踊り出ている。

 

なので、わしは真面目にコントロールの種類を増やす記事を書いてやろうと、今晩は「コンパスターン」について書いてやろうと思ったじゃが、ごらんのとおり、枝豆や小池栄子風の彼女の話になってしまったので、また今度書くことにしよう。

 

それでは!