蘇った!ペンタの蹴球日記

あの世から蘇ってきた蹴球老人の日記

世代交代の失敗

なでしこのW杯メンバーが発表になった。

 

わしが密かに睨んだとおり、ヤングなでしこは全滅。田中(陽)、猶本、京川の名前はない。同世代の岩淵は、前回のW杯経験者である。

 

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サッカー選手の全盛期は、22歳から32歳くらいだとして、この10歳のなかに各年代二人ずつ代表選手がいないと、20人にならない。33歳以上が1人、20歳以下が1人として、ぴったり22人。2チーム分である。

 

多少の上下動はあるとしても、不在の年代は谷間の世代ということになる。

 

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だが、今回のヤングなでしこ世代の不作は、それだけで良いのだろうか?

 

この世代、前回W杯のなでしこジャパンの世界制覇のときに、18歳だったことになる。先輩たちの努力が実り、ようやく日本中のファンが女子サッカーを注目したときに、ズバリ次世代だったわけだ。

 

環境もそれまでより改善したはずだ。TBS系列でヤングなでしこ世代の大会が放映され、注目も浴び、人気も出た。田中、猶本というスターも生まれた。

 

佐々木監督もA代表に呼び、チャンスを与えている。

 

そのほとんどをわしを見ているが、残念ながら彼女たちのプレイはレベル以下だった。

 

澤、宮間、阪口、オオギミ、川澄に、いきなりなれとは言わない。それに続く選手にも、遠く及ばなかったのだ。

 

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はっきりいって、彼女たちにはがっかりした。

 

テレビが騒いだときに、勘違いするのは良い。勘違いをチャンスにしなきゃ。彼女たちがした勘違いは、目標まで実際には10Kmなのに、2Kmくらいだ(もうちょっとだ)、と勘違いしたのである。この距離感がダメな人間は、実は何をやってもダメである。これではチャンスにならない。

 

わしの推奨する勘違いは、ゴールまで10kmなのだが、わざと100kmだと遠くを見据えてしまう勘違いである。そして、自分はその目標を目指すに価する選手だと、騒がれて肥大してしまった自我を諌め、勘違いした心を鞭打つエネルギーにするのである。

 

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彼女たちは、悪い意味で勘違いしてしまい、勘違いしてしまった人間が歩く道を綺麗に歩いて見せた。伸び悩み、通用しなくなり、たぶん消えてゆくのであろう。

 

先輩たちや、周囲が築いてきた財産を、継承しそこなった責任も大きい。国民の期待を裏切った責任も大きい。

 

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他方でなでしこだが、前回W杯~五輪の間が全盛期であったようだ。その後はチーム力も落ちている。他方で、他国はレベルが明らかに上がった。

 

これは、なでしこに習って、パスをつなぐサッカーを取り入れたからである。男子の代表では、スペインが果たした役割を、女子ではなでしこが果たした。

 

なでしこも、決して実力だけでこの成績を収めたわけではなく、運や神がかり的な勢いのせいもあったと思われるが、当時のなでしこの試合を見ていると、パスワークの洗練度はどのチームよりも優っており、ショートパスをつなぐための個人のスキルと連携という意味では、間違いなく世界一だった。

 

だが、現在は男子サッカーに似て、パスワークに単純なミスが目立つ。

 

相手に研究されたこともある。それを押しかえそうとして工夫し、実りそうになったこともある。

 

だが、世界との差は逆転し、現在はかなり低い位置まで落ちたようである。

 

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どうしてこうなったのか?ひとつは既に書いたように、世代交代の失敗だ。もう一つも明らかだ。周りのレベルがあがったのに対抗できなかったからである。

 

だが、わしとしては、この二つの説明だけではなんとなくすっきりしない。

 

何か、肝心な何かを見落としているような気がしてならない。