蘇った!ペンタの蹴球日記

あの世から蘇ってきた蹴球老人の日記

ベクトル差

は、さてぇ・・・・

 

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スポーツ選手の育成は難しい。それなのに、すぐに協会は腐る。そして、育成に失敗しつづける。

 

たとえば、マラソンはかつて日本のお家芸じゃった。ところが、女子は野口みずきを最後にピタリと勝てなくなり、男子は見る影もない。これなどは完全に育成方法あるいは環境に問題があるに違いない。じゃが、勝てなくなっても陸連は困らない。困るのは、選手個々であって、既得権に守られている陸連はまったく困らない。だから、何があっても誰も責任をとらない。たとえコーチもいない公務員のアマチュア選手がナンバーワンになっても、誰も責任をとらない。おいおいおい!わしは、8年結果を出せなかったら、その部門の関係者は全員クビにする、というルールでも作った方がいいのではないか?とオモウ。

 

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さて、今日は話題をかえて、また草サッカーのコツでも書こう。

 

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わしは中学生の数学の授業で「ベクトル」を習ったとき、「これはサッカーのパスのことじゃ!」と思った。

 

「ベルトル」とは、方向と大きさを兼ね備えたモノである。

 

わしは、小学生のときから、パスを出すときに、受ける味方とそれをマークする相手選手とのベクトルを観察しながらパスを出していたのじゃが、それを説明する言葉がなかったので、うまく人に伝えられなかった。で、数学の授業で、ベクトルの話を聞きながら、「お?」と思い、「おお!」と感動し、「なるほどー!」と納得したのである。

 

で、さっそく、同級生のサッカー部の奴に、「今のベクトルってさぁ」と説明してみた。

 

じゃが、そいつがバカだったせいか、わしの説明が下手だったせいか、ぜんぜん伝わらなかった。

 

 

今夜はその時以来40年ぶりのリベンジをしてみようというわけじゃ。

 

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さて、おぬしはパスを受け、ルックアップしたところじゃ。見える範囲に、味方選手が何人かいる。それぞれにマークがついている。

 

味方選手はそれぞれのタイミングで動きだす。マークの選手もそれについてゆく。どんどん状況は変わる。しかも、現在は1メートル距離があっても、キックをしてパスが届くまでに時間がかかり、それまでには相手も距離をつめるかもしれない。いちいち見ていると複雑すぎる。

 

わしは、そのときベクトルを観察すればよいことに気付いたのである。むしろ、ベクトルだけを集中して見ることにした。

 

味方Aは、左へ走りだした。ところが相手マークA´は、ナゼカ立ち止まったままである。現在二人の距離は50㎝しかないが、パスが届く1秒後には、2メートルほどにひろがっているだろう。パスは充分とおる。

 

味方Bは、右前方のスペースへ向かって走りはじめた、すぐそれについて走りはじめた相手マークB´との距離は現在3メートルであるが、走る方向は同じであり、速さはB´の方がまさっている。このようなケースの場合、パスが味方に届くまでの1秒後には、Bッ´がBにおいついてしまい、Bがコントロールするためのスペースが残されていない場合が多い。

 

これはまさにベクトルではないか!?

 

味方とマークとの現在の距離ではなく、二人の方向とスピードを観察し、その差が大きいところが、パスのとおるところなのである。

 

ところが、このタイミングをはずすと、せっかく味方が動いてベクトルの差をつくったとしても、ボールを出さずにぐずっているうちに、相手が反応し、マークがおいついてしまう場合が少なくない。

 

わしらのチームでも、このぐずりをやる仲間がおる。

 

じゃが、代表レベルの試合でも、このタイミングがわかっていない選手、ベクトル差がわかっていない選手は多い。ま、日本代表クラスだと、タイミングはおろか、ちゃんとコースが蹴れていない選手がまだ多く、見ていてがっかりする。

 

ヨーロッパでパスサッカーを志向するチームには、こんな技術もなく、わかっていないレベルはあり得ない。たとえば、バルセロナのワンタッチパスのスピードや正確さをみるにつけ、それだけ一つとりあげても日本人がいかにまだ下手であり、いかに普段弱いアジアでやることに慣れてしまっているか、ということを痛感せざるを得ない。バルセロナとは言わなくても、たとえば不器用なドイツ人のパスサッカーであったも、ちゃんとこのベクトル差を理解していて、パスをつないでいる。非常に論理的にパスがとおる。

 

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日本では、よくボールを受けるためのチェックの動きというものを教える習慣がある。これは何のためにそうするのかといえば、このベクトル差を生み出すためにやることである。

なんのためかを教えないまま、ただチェックの動きをやらせることに意味はにあ。

 

このベクトル差を生み出す方法は、実は、パスを受ける選手のチェックの動きだけではないわけである。

 

たとえば、昨年のバルセロナでよく見かけたシーンにこういうものがあった。ボールはシャビの足元にある。FWのペドロとサンチェスがディフェンスラインの裏を狙って走りこむ、相手ディフェンス4人はいっせいに二人についてゆく。

 

すると、すたすたと歩いているメッシがフリーになる。ディフェンスがつられて動きだしてしまったために、ほぼ立ち止まっているメッシとのレベル差が大きくなってしまうわけじゃ。メッシは無駄に動かないことで、ベクトル差をつくりだしていた。

 

実にいろいろある。

 

パサー側の動きによって、このベクトル差を作り出す方法もある。

 

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じゃが、今夜はこの辺にしておこう。

 

まずは、ベクトルを観察することをやってみよう!あたらしい世界が見えるかもしれないぞよ!