蘇った!ペンタの蹴球日記

あの世から蘇ってきた蹴球老人の日記

効果的なドリブル

歳をとり一番おもしろくないのは、痛みの回復が遅いことじゃ。

 

わしらは日曜日の夜にフットサルをやるのじゃが、それから水曜日くらいわしの膝は痛いので、あまり負荷をかけたトレーニングができない。で、さらに木、金と寒くて天気が悪かったりすると、やる気をなくし、結局日曜日までまるで体を動かさなかったりする。

 

これではいけないとわしは考え、二週間前から筋トレをしている。毎日、違った部位をすこしずつ鍛えるDVDがあり、それに沿ってやっておる。これが珍しく続いておりのじゃ?

 

わしに何が起こったのか?

 

それは秘密じゃよ、というのはうそで、大会が迫っておるんじゃ。

 

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さて、今日は「効果的なドリブル」というテーマで書いてみよう。

 

もうドリブルすることが癖になっていて、必要のないところでドリブルをして、せっかくのチャンスを逃したり、絶体絶命のピンチを招いたりする選手がいる。

 

いや、これは何も草サッカーのレベルではなくて、育成年代の県代表クラスでもしばしば見かける。そういう選手は監督から、「どんどんドリブルをしかけろ」と言われてジュニア、ジュニアユースを過ごしたのかもしれぬが、そういう教育をする指導者がいるほどに、まだまだ日本のサッカーのレベルは低いわけじゃ。

 

たまに見ていてげっそりすることがある。

 

「効果的なドリブル」をするためには、実は周囲との連係が重要で、ほんとうはジュニアのころからそういうことを体験的に学習できるように導くべきとわしは考えておるのじゃが、ほんとに未熟であることよ。

 

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さて、「効果的なドリブル」の第一は、「運ぶドリブル」である。自分の前に、スペースがある場合、ずんずんドリブルをして、ボールを相手ゴールに近づいていくことは、非常に効果的であるに違いない。当然のことながら、相手ゴールへ近づいた方が、ゴールは決まりやすいからである。

ディフェンスラインの裏にできた広大なスペースでパスを受け、そのままドリブルで独走し、シュートというシーンがよくあるが、これも「運ぶドリブル」である。

 

「運ぶドリブル」には、このほかミッドフィールドに出来たスペースをドリブルで運ぶケースもある。要は、スペースでずんずん運ぶのである。

 

次の「効果的なドリブル」は、抜くドリブルである。マラドーナやメッシの5人抜きに代表されるように、これもシュートに結びつく。あそこまで派手でなくても、たとえば3対3の局面で、一人抜いてしまえば、3対2になるうえ、相手守備人の2のうちの一人が、新しくドリブラーをケアしねばならなくなり、マークにズレが生まれやすい。決定的なチャンスがうまれる。

 

誰しもが憧れるこの抜くドリブルであるが、わしはこう考えることがある。たとえば、メッシは5人抜きをするのに、ハーフウェーライン付近からドリブルを開始し、ゴール前まで走り、20タッチくらいボールを触らねばならなかった。しかもあのメッシであっても、生涯数度くらいの成功率であろう(相手が幼稚園児やわしのような老人であれば別じゃが)。

 

しかしながら、ハーフぇウェーライから浮玉のスルーパスを味方FWに通してしまえば、一歩も走らずしかもワンタッチで、自分とFWの間にいる相手守備陣を超えることができてしまう。しかも、これは多少のキック精度があれば、ワンシーズンに数発決めることが出来るプレーである。しかも、同じ5人抜きである。場合によっては、8人くらいの間をすり抜けたり、頭を超えるパスも可能かもしれない。

 

さらに、この「抜くドリブル」には弊害も多い。これに憧れるあまり、抜けるはずのない間合いやポジションで仕掛けてしまう癖がついてしまう。そして、相手守備陣にひっかかっては、カウンターを浴びるきっかけを作る。

 

もっと困ったところでは、このドリブルをする病をこじらせると、相手にドリブルをさせられて、効果的でもなんでもないドリブルをさせられているのに、気づかないようになる。

 

もっと言えば、こういう病を患った選手というのは、ドリブルしはじめると周囲が見えなくなり、連係で攻めるということができなくなる。

 

頭の中も、抜くドリブルだけが素晴らしく思えてきてしまい、何がチームにとって効果的で、ゴールにとって近道であるのかが、わからぬようになってしまうわけじゃ。

 

おそろしいことに、この病は技術があったりした方が罹りやすかったりするわけで、ブラジル人にもときどきそういう選手がいる。

 

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では、お主が今ボールを持ったときに、チームのために必ず役に経つこと教えてしんぜよう。

 

それは相手をひきつけることである。つまり「相手を引きつけるドリブル」をするのじゃ。

 

たとえば、極端な話じゃが、11人対11人のサッカーのミッドフィールドで、アンカーであるあなたが、相手の選手3人を引きつけたとしよう。その時点で、相手の守備のマークはズレが生じているはずで、少なくとも味方選手の2人はフリーになっているはずじゃ。自分以外のところで、数的有利をつくれるのでる。あとはそこにパスを出せばよい。

 

何もドリブルで抜く必要はない。3人は無理でも2人を引きつけ、そしてパスを出してみよう。それは必ずチームの攻撃に貢献するはずじゃ。

 

さて、このとき問題になるのが、この「引きつけるドリブル」をしているときのそばにいる味方の選手である。相手を引きつけている以上、ドリブルをしている選手は、リスクを犯している。3人も引きつけたら、次の瞬間、ボールを奪われる確率も高くなる。味方が察知して、ボールをもらえるようなポジションに移動してあげないと、その確率はさらに高くなる。

 

まわりの選手は、どこならパスがもらえるか、常に考えながらポジショニングをしなくてはらなない。さらに、それだけでなく、ボールを受けたら、数的有利をどのように使うべきか、イメージをつくっておかなくてはならない。

 

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つまり、連係して攻めるという基本がそこにあるわけじゃ。

 

これはなかなか奥が深い世界じゃが、そこのサッカーの妙味もあるのじゃ。

 

何より、味方同士で「引きつけるドリブル」をする、「引きつけた選手からパスをもらう」「さらに、マークのズレを使う」というイメージを共有すると、ぐっとサッカーやフットサルが面白くなること確実である。