サッカーの未来
このブログでも書いたことがあるのに、最近すっかり忘れていたことがある。
それは「サッカーの未来」について、である。先日、西部謙司氏が『footbollista』で書いていた記事を読みそれを思い出した。
氏は、「サッカーはハンドボールやバスケットボールなど、手でボールを扱う球技に近づく」と、いうことを今年の4月号にも書いていて、わしは同様な主張を10年ほど前にそれを読み、大いに勇気づけられたのである。
それから暫くして、サッカーボールを手で扱うようなシャビやイニエスタの所属するチームが、ペップの戦術によって、「サッカーのハンドボール化を推し進め」、見事サッカーの世界に革新を起こしてゆく様を味わうことができた。しかも彼らは見事に勝ってみせたのである。
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さて、西部氏の言葉にもう少し耳を傾けよう。
「ハンドボールやバスケットボールでは、いったん手に収まったら滅多なことではボールを失わない。それに合った守備や攻撃が行われていて、サッカーのボール技術も「手」に近づけば戦術やゲームの様相も似てくるはずなのだ」
これはまったく、ペップバルサの全盛期のことではないか。イニエスタやシャビのように、地面を見ている時間が短く、ターンやドリブルをしている間も周りが見えるがごとくプレーし、しかも判断ミスやミスキックがほとんどない選手、彼らはまるでサッカー選手というよりは、バスケットボールの選手に近い姿勢をとっている、といえば言い過ぎかもしれないが、ニュアンスは分かってもらえると思う。
実際、イニエスタは、ドリブルしながらも周囲を見てプレーしていることがままある。
このような選手が幾人か揃っていて、ボールを簡単に失わないこと、ミスをしないことが可能になると、それ前提とした戦術、ミスの少ないプレーの積み重ねで相手の守備陣を崩すこと、つまりショートパスをつなぐサッカー、すなわちポゼッションサッカーという戦術が可能になるわけである。
これこそまさに、サッカーのハンドボール化である。
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さて、それから西部氏は、さらなる進化は、グアルディオラによってなされるのではないか、という趣旨のことを書いている。SBのボランチ化、0バック(センターバック本職の選手がいないシステム)がペップバイエルの試合で見られ、それらはよりボール扱いの巧みな選手たちのよって、推し進められるポゼッションサッカーの進化形ではないかと言うのだ。
しかし、ここでわしは意見が異なる。
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バスケットボールやハンドボールでもカウンターは非常に有効な戦術であり、カウンターをしません、カウンターを狙いません、というチームはないはずだ。相手の守備陣形が整わないうちに攻め切ってしまうのは、これらの競技でのファーストチョイスのはずである。それが無理なときの遅攻なのだ。
バスケットの場合、時間帯によってはオールコートでマンツーマンディフェンスを行い、徹底的にインターセプトを狙い、奪ってからーのショートカウンターという戦術もある。スタミナが無尽蔵にあれば、かなり有効な戦術のはずだ。そしてこれなどは、セルタの戦術(ビエルサ一族のサッカー)とよく似ている。
ゆえに、ポゼッション志向だけがバスケットボール化、ハンドボール化ではないのぢや!
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遅攻と速攻の使い分け、これがこれからのサッカーの強者の戦術になるはずである。
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さて、カンプノウでのクラシコで、レアルが勝ってしまった。クライフ追悼試合という舞台設定にもかかわらず、である。
これだからサッカーは熱い。
勝敗の原因は幾つかあると思うが、一つはジダンが守備時に4-1-4-というシステムを徹底させたこと。これに、クリロナ、ベイルも従ったことである。そして、アンカーのカゼミーロを始め、レアルの中盤がよくブスケツの自由を奪ってしまったこと。
これにいらだったのか、メッシがブスケツの横に降りてしまったこと。メッシはかつてアルゼンチン代表でもこれをよくやっていたが、多くの試合で空回りしてしまっていた。最近、「シャビの果たしていた機能をメッシが代わりつつある」などと評されることのあるメッシだが、これはまったく誤った評価で、最初からプレースタイルや担っているものが違う。
ここ数年、両者の対戦では、ポゼッションでレアルが勝ることが多く、レアルとバルサが入れ替わったような、と言われる試合がしばしばあったのだが、ジダンは現実的にバランスのとれた選手を選択した。これは間違っていなかったと思う。
実際には、イスコ(もしくはハメス)の代わりにカゼミーロを投入したわけであるが、この違いだけで守備の安定度ががらっと増す。その代り、カゼミーロとブスケツとでは、攻撃時の組み立てでは、中学生とプロくらい異なっており、主導権を握るサッカーは難しくなる。
従って、相手に主導権を受け渡し、守備時は一度リトリートしての4-14-1の採用ということになったのであろう。
これまでジダン・レアルのサッカーで必ず見受けられた守備時の欠陥がこの試合でようやく埋められた気がする(もっともサッカーの場合、完璧なディフェンスなどというものはないのであるが)。
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さて、サッカーとバスケ、ハンドボールとの大きな違いに、わしが言うまでもなく、オフサイドルールというものがある。このルールがあるおかげで、サッカーのディフェンスは、フラットに最終ラインを引き、前へとプレッシングをかけるという戦術が可能になっている。もしオフサイドルールがなければ、恐らくマンツーマンからずるずると下がるチームばかりになっているのではないかと思う。
これは非常につまらないゲームばかりになっていただろう。
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そして、ミケルスとクライフの二人がいなかったら、サッカーはなんと面白くないスポーツになっていたのだろうと思うのである。
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さて、最近すっかり「守備」にはまっているペンタである。
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ことの始まりは、ガイが「ゾーンは分からない」と言っていたことじゃった。「ゾーンが分からない??」わたしは思ったが、しかし彼の話をよくよく聞くと、「ジュニアバスケでゾーンが禁止になった」などと、「ゾーン事情」に意外に詳しいのである。
彼は彼なりにアンテナを張り、「ゾーン」に関する情報を集めようとしていたのだ。
そこでわしもググってみた(いや、実は前からググっていたのであるが)。
すると、すぐにある人の記事にぶちあたった。鈴木康浩という人が書く記事で、「日本のサッカーがまだまだなのは、ゾーンディフェンスをちゃんと習得していないから」というかなり挑戦的な記事を書いていた。
わしはむかし、『ワールドサッカーの戦術(ベースボールマガジン社)』という名著を読んだのじゃが、そこにはサッカーの守備戦術がいかに進化してきたかが多数の写真とともに語られていて、マンツーマンからゾーンへ、さらにゾーンプレス(懐かしい)への発展が実に明快に理解できるようになっている。それが書かれたのが1995年であったことから、当然プロの監督ともあろう人々がこの本を読まずして、監督をやっているわけがないと思い込んでいた。
「ゾーンディフェンス、ゾーンプレス、コンパクトな守備隊形が常識になってから20年は経っているじゃないか!?今更、ゾーンかよ!」とわしは思ったのである。
だが、悲しいかな、なんらかの事情で、鈴木氏の主張のとおりのことが起こっていたのである。もちろん、完全なマンツーも今更ないのであるし、コンパクトでないチームもないのであるが、それにしても、Jのチームは中途半端だったのである。
鈴木氏と松田浩という人が共著で出した『サッカー守備戦術の教科書』という本を読むと、この本はまた実に稚拙な、『ワールドサッカーの戦術』の格調高さに比べるべくもないレベルの低い、まぁ本なのだが、書いてあることには思いたる節もしばしばあり、次第に共感するようになってきた。
そうして、攻撃には興味がだんだんなくなり、ディフェンスばかりに目を留めてサッカーを見始めるようになると、たしかに欧州リーグの各チームは、ディフェンスのやり方がしっかりしている。おのおのの監督のやり方というのが、きちんと反映されたチームなのである。
まぁ、その辺は少しずつこのブログにも書いてきたことであるが・・・
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さて、先日、ハリルホジッチが「守備の理想はバルセロナ」と語ったということで、わしは当初「何を言っておるんじゃ!(ぴくぴくピー!)」と思ったのである。こないだまで、ドルトムントのゲーゲンプレッシングがやりたいと言い、ラディカルチェンジなどと言っていた癖に!だいたいバルセロナの戦術と言えば、ペップの頃の例のあのサッカーを思い出してしまうが、あの頃の守備を言っているのか、それとも現在のエンリケバルサのことを言っているのか、どちらかでまったく違うではないか!と。このアホハリルめと!
だが、ふと思ったのである。
「バルセロナのすごいところは華麗なパスワークばかりに目が奪われがちであるが、どっこい守備にもあって、そこに目を向けろというメッセージなのではないか?」と。
それはすなわち、わしがこの冬から取り組んでいることではないか!
先日、チャンピョンズリーグで、バルセロナ対アーセナルが行われ、わしはダイジェストだけ見たのであるが、バルセロナの3点のうち、2点はなんとメッシのチェイシングから始まった攻撃が得点に結びついたものである。
「メッシは守備をしなくてもスーパーな選手なのに、こんな事し出したら相手はたまんねーだろうな。俺がベンゲルだったら、メッシが守備をするのは反則だ!と試合後にインタビューで愚痴っただろうな」と、思った。
メッシがちゃんと守備をしたときの、バルセロナ。これはもう無敵でしょうな。昨シーズンにも1試合だけありましたな。エンリケとメッシが衝突し、メッシを先発から外した試合の、その次の試合。あれはすごかったなぁ・・・
残念ながら、そのCLもリーガの試合も録画していないので見返すことはできないが、現在のサッカーの最高峰の守備戦術が見られるはずである。
そして、このブログにも書いたように、基本は前からのプレッシングなのであるが、それで奪えない場合は、4-4-2になっているのではないかというのがわしの見解である。
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さて、わしはさらに思ったのじゃ。
ハリルホジッチはもしかしたら、ミーハーなんじゃないだろうか?今季前半ドルトムントが良いサッカーをすると、「ゲーゲンプレッシングがやりたい!」と言い出し、やっぱりバルセロナが強いとなると「理想はバルセロナ」と言ってしまうのは、ハリルホジッチがミーハーだから、なのじゃないだろうか?
ミーハーであり、流行っているものに弱いとしたら、ハリルホジッチの「守備の理想はバルセロナ」というのは、現在のまさに今はやっているエンリケバルセロナの方なのではないだろうか?
そう思いつつ、シリア戦を見ていると、現れました!後半さすがに疲れた時間帯、前からプレッシングがかけられなくなった瞬間、日本代表がきれーな4-4-2になったのである。が、まぁ、このときの布陣を、マスコミは4-3-3と言っていおり、それがほんとなら、4-3-3から4-4-2への切り替えは、本当にバルセロナのようであるが、実は日本代表の方は、ボランチを2枚置いており、むかしながらの4-2-3-1と呼んだ方が相応しいのではないだろうかというシステムであった。4-2-3-1は、実は守備時に4-4-2に切り替えやすく、この切り替えをやっているチームは多い。ので、そんなに驚くことではない。
だが、このときのフラットな2ラインによるきれーなゾーンディフェンスはこれまでになかったもので、あらためてハリルホジッチが何を志向し、何を代表のもたらそうとしているかが明らかになったのである。
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さて、ちょっと前に、ドルトムント対バイエルンを見た。香川が外された試合であったが、確かに香川がいる場所はなかった。
とにかく両者の守備がすごいのである。前へ前へ、怖くなるほどプレッシングをする。ちょっとでもぼけっとしていたら、足ごと刈り取られるようなタックルが襲ってくる!そういう迫力のある試合であった。そして奪ってしまうと超絶カウンターをしかけるドルトムント。左か右のウィンガーへ展開し、そこで違いをつくろうとするバイエルン。特にバイエルンは、(その試合ではないが)左右両側にウィンガーを2枚ずつ揃えるようなサッカーもやっていて、もう無茶苦茶である。
(バイエルンについては、最近発売された「footballista」がなかなかすごい分析をしたいて、大変参考になった。)
おっと脱線したが、バイエルン、ドルトムントといったリーガのトップクラスの本気の試合では、「怖くなるくらいプレッシングが出来ない選手」というのはお呼びではないようだ。
なんせCLでは、メッシでさえ本気のプレッシングをするんですからねぇ、香川くん。
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ということで、少しずつハリルホジッチを見直しつつあるペンタである。
監督は、頑固で、自分の哲学を持ち、自分のやりたいサッカーをやる!というのが監督のような気がするのであるが、その一方で、世界のあるいは欧州のサッカーの戦術というのは日進月歩であり、ずんずん進化している。だから、監督というのはその潮流を視野に入れておくことも必要である。
だが、残念ながらトルシエ以降の外国人監督は、古かった。時代遅れのサッカーを日本にもたらしたのである。トルシエは多分5年くらい古かった。ジーコは20年古かった。オシムも15年ほど古かった。岡田は守った。ザッケローニも15年ほど古かった。そしてみんな頑固だったのである。
ジーコに至っては、中沢が「守備の約束事がない」と嘆いていたほどである。
それじゃぁ、勝てねーだろうなぁ・・・
ハリルホジッチは、だから、ミーハーだがそれゆえちょっとはマシなものを日本にもたらしてくれるのではないだろうか?と最近わしは希望を抱いておる。
ところで、先日のカザフスタン戦は、わしが長らく主張していた(10年以上前??)、中盤ダイヤモンドの4-4-2をやってくれ、その意味でもハリルはなかなかサービス精神も旺盛である。だが、このシステムは今考えると、メッシが偽9番をやっていたころのバルセロナの4-3-3にかなり近く、相当守備は難しそうである。
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さて、スペインではクラシコが迫っている。
クライフが亡くなった後の試合で、バルセロナが負けるわけがないと思うが、サッカーばかりはやってみなけりゃわからない(サッカーばかりでなく人間のやることは、たいてい予測不可能である)。
と、言いつつも、ここで見事に試合を予想してみようと思った。のであるが、両チームの誰が怪我をし、誰が出られるのかのチェックをさぼっており、正確なメンバーがまずわからない。代表戦で、各自どれくらい消耗しているかも不明である。
だから、直前の両者の試合を思い出しだし、予想するしかない。
まずバルセロナの方であるが、ビジャレアル戦での失点シーンのように、実はあの試合ではたまたまアウヴェスのアホなミスから失点したが、実は今季のバルセロナは自陣低い位置でのパス回しに恒常的な不安を抱えている。また、わしが何度か指摘したように、カウンター時にボールを失った際の対処がバイエルンほど洗練されておらず、大いにピンチになると思われる。
他方でレアルの方は、どうしてもクロースでは守り切れないと判断したのか、ジダンはカジミーロを起用していたようである。クロースは後ろにずるずる下がってはやられ、前に出てはやられ、ついには先発をはずされ、「オレって。レアルのなんなの?」と悲しんでいることであろう。が、もしハートが強いなら、バルセロナの試合を見て、ブスケツのポジション取りの研究をしているのではないだろうか?それはともかく、守備に欠陥を抱えたままジダン号は荒波を渡っており、沈没しないことを祈っているのじゃが、チームの完成度としては、当然低いレベルである。
だが、彼らのプライドをかけ、サンチャゴのリベンジに燃えていることであろう。ホームで負け、リーガを失い、国王杯はまさかのチーム退場。ここでも負けたらくしゃくしゃである。追い詰められているんじゃないだろうか?モチベーションとしては、レアルの選手の方が高いと見た。モチベーションと身体能力だけではサッカーは勝てるチームにならないが、たった一試合であるながら勝ててしまうこともあったりるすのが、サッカーである。
であるからにして、レアルの選手がもし前線からのプレッシングをしかけるほどのハードさで試合に臨むなら、レアル側にもわずかながら勝機があると思う。
それ以外、ふつーにやればふつーにバルセロナが勝つでしょうな。
競争の無さ
女子サッカー冬の時代の到来である。
真冬の後、早く新たな芽吹きがありますように・・・
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さて、この短い期間になでしこ日本の何が変わってしまったのか?
それは競争のなさなのではないだろうか?
ドイツワールドカップ以来、同じ顔触れが続いている。
もう少し変化、競争があってしかるべきだと思うが、いかがなもんじゃろうか?
今回、良さが目立ったのは、横山と近賀である。
横山は大野から、近賀は有吉からポジションを奪って、試合に臨んだ。
それぞれ個人的なモチベーションも高かったと思われる。
(石清水からポジションを奪った田中は、今日の試合であまり良いところがなかったが)
他のポジションは、無風だったと言わざるを得ない。
そのせいか、宮間までが一時のパフォーマンスから2ランクくらい調子を落としていた。
パス精度も、ここぞという局面でのドリブルにも切れを欠いた。
大儀見も、タイミングよく落ちて来て、一度ボールをあずかり、
さばいてまた上がるというパターンを産み出そうとするが、
どうも廻りと今一つ合わない。
しかもゴール前でのポジションの取り合いで気合を欠いた。
ほかの選手は言うに及ばず。
特にひどかったのは、ボランチである。
澤が引退し、運動量限定の後継者とわしが期待した宇津木は、故障したのか招集されていない。その結果、2人の競争相手がいなくなり、ポジション争いはぐっと楽になった。
結果、初戦では、宮間がここに入ることになった。
宮間のボランチも悪くはないが、それを活かすには周囲との連携が欠かせない。
オーストラリア戦では、チーム全体がびびってしまい、その結果終始間延びしてしまった。間延びしているなら、間延びしているで、パスの繋ぎようがあるのじゃが、それもできない。
2戦目は、川村と上尾野辺であったが、2人とも合格点には遠いプレーであった。
テレビの解説では褒めていたが、褒める程ではなかった。
試合としては、3試合の中では一番よかったが、最後の仕上げで正確性を欠いた。
ボランチの2人に関していえば、上尾野辺は、周りと合わず(特にアウトのちょんというパスが味方とタイミングがまったく合っていなかった)、川村は周りが見えていなかったし、キックミスも多かったはずだ。
今日の三試合目、中国戦に起用され、今日のバックパスをやらかしてしまったわけだが、起用した方にも責任があると思う。
ワンタッチでプレーした本人はたぶん福元まで戻したつもりだったのだろう。
だが、ボールが少し弱く、一番近いのは田中だったように思う。
だが、田中はよそ事のように反応し、しかも、中国選手の突進に気づいた後も、
なぜか他人事のように、熊谷を呼んで任せようとしている。
田中としては、川村のパスは当然福元を狙ったもので、自分はこの角度では関係ないと、見切ってしまったんじゃないだろうか。
「うまい系」の選手がときどきやってしまう「決めつけ」である。
周囲の意図を読めない選手と、読みすぎて決めつけてしまう選手と、この感覚が合わない選手同士がうまくすり合わせるのは、実はかなり難しい。
それはともかく、なでしこのサイクルは終わった。
監督も交代し、新しい一歩を踏み出そうではないか。
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さて、リーガの、レアルのディフェンスに難があることをわしは先の記事で書いたのであるが、むこうではジダンがディフェンスで修正をしようとして、しかも失敗していた。
レアルは、クロースがさがりすぎず、中盤でフラットなラインを敷いて、前を押し出すようなプレッシングを始めていたらしいのだが、アトレチコのシメオネはさらにその対策を練っていた!(ほんとかよ!?)
これが本当なら、まったくリーガのサイクルのなんという速さであろうか?
3週間で、ぐるり、と変わってしまう。
ただ、レアルが勝てなくなったのは、実は守備のせいではない、と思う。
ジダンが就任してから一番変わったのは、絶好調のベイルが怪我をして離脱してしまったことで、このせいで相手への威圧感が相当減ってしまった。
同時に、黒くなったクリロナも力が落ちた。
トルコの愛人のところに毎週通っているという噂があるが、相手は男だそうである。
力が落ちたのに、エゴと個人技への依存は変わらない。アホか?
このチームの見所は、唯一モドリッチの美しいパスである。
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他方で、バルセロナの方は、中盤の3枚がターンオーバーで回っていて勝ち続けている。ブスケツまで休める試合がつくれるのは大きい。必ずしも、ラキッチやセルジロベルトがブスケツの代役としてパーフェクトなわけではないが、それにしても勝っている。
MSNの方は、まるで休みなしで試合に出ている。一時、ネイマールの切れが落ちたようであったが、すぐに戻ったようじゃ。信じられない3人である。
次の代表選があるのがいつかチェックしていないが、これさえ突破できれば、まったく問題がないのであろうか?
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リーガでは、この無敵バルセロナにいろいろな個性が挑んでくる。
マンツーディフェンスからのハイプレッシャーで、ショートカウンターを狙ってくるセルタ。とにかくポゼッションでは誰にも負けないラージョ。ひたすら守備を固めカウンター一発かセットプレーののアトレチコ。ポゼッション偏向から妙にバランスが取れてきたビジャレアル潜水艦浮上中!。そしてとにかく個の力でねじ伏せようと勘違いを続けているレアルマドリーと、それぞれのチームの色がはっきりしていて、非常に面白い。
同じバルセロナに負けるにしても、負け方がそれぞれ違うのである。
こんなリーグはめったにないのではないか?
昨年末のクラブワールドカップでの、あの無策のリバープレートを思い出すと、リーガの面白さが際立つ。
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さて、これからラージョ対バルセロナの録画を見るか!
それとも、桐谷美玲を見ようか?
うーん、悩ましいところである。
エンリケ・バルサの秘密
桐谷美玲が好きになってしまったようじゃ!
ペンタである。
わしはテレビドラマを観る習慣のあまりない人間で、小学生の頃に「天下御免」を、中学生の頃に「岸辺のアルバム」を、そして社会人になって「北の国から」シリーズを少しばかり観たのであるが、本当にそれくらいしかこれまでの人生で観たことがなかったのである。そんなわしが昨年ふとしたことから、「あまちゃん」にはまったり、「ぼけもん」を見たりするようになったのであるが、最近はもっぱら桐谷美玲なのである。
彼女の、犬のような口の形とうわずった声が好きなのである。
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さて、今季のバルサが強い。圧倒的に強い!しかも強くて圧倒的である(笑)。たぶん、敵は自分たちの中にしかない。そんなレベルの強さである。
では、その強さの秘密はどこにあるのか?
以前のペップ・バルサについては、多くの方々が分析を行い、どのような戦術で戦っていたのか、かなり詳しく分かるようになってきた。あまりにも有名になった、ショート・パスによるポゼッション重視、前線からのプレッシングによって相手にほとんどサッカーをさせないような守備、両サイドに広く開いたウィング等など・・・まぁ、ここで繰り返すまでもないであろう。
ここで確認しておくべきことは、ペップバルサのポゼッション・サッカーは、ゆっくり攻めることによって、FWからDFまでの距離が狭い状態を維持したまま、常にコンパクトな陣形を整えることが出来たことである。この「遅い攻撃」によって、攻守切り替え直後の数的多数が保証されていたわけである。
ところが、エンリケ・バルサの攻撃は異なる。一口に、「遅い攻撃に加え、速攻も織り交ぜた」というが、それほど簡単なことはない。
「速い攻撃」には、味方のDFもついてゆくことができない。チームはコンパクトの状態を失い、間延びした状態になってしまう。ここでMSNの一人がボールを奪われたなら、その瞬間には、数的多数がなくなっているわけで、そういうケースにおいてはそれなりの守備を構築しなくてはならない。
それを、わしは以前「ラキティッチの走力」という風に解釈したのであるが、どうもそれだけではないようだ。
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他方で、ジダン・マドリーであるが、こちらは守備に問題を抱えたままである。このチームは、選手の能力からみてもともとカウンターが得意なチームであるのに、4-3-3の陣形で戦う。攻撃時には、この形はカウンターにもよく合っているのでるが、実は守備には不向きなところがあり、そのまま陣形で待ち構えると、どうしても中盤(クロース、モドリッチ、イスコ(チチャリート))の周辺にスペースが空いてしまう。
マドリー・チームのFWの3枚は奪われた後の切り替えが遅いので(それ以上に守備をしたくないので)、当然アンカーのクロースはずるずると後ろに下がってしまう。そうすると、フラットな4枚の前に狭く「Ⅴ」字に並んだ中盤3枚が並びことになってしまうが、この「Ⅴ」字の両脇と中央にスペースが出来てしまうわけじや。
多くのチームがこのことを知っていて、そのスペースに攻撃的な選手をあらかじめ配置し、カウンターを浴びせることに成功している。
レアルは、もちろん場合によっては、うまくパスも繋ぎポゼッションもするので、見かけの上ではバルセロナと似た仕上がりに見えるのであるが、実は中身がまるで違っている。
もっとも、この「速攻・遅攻」の両刀使いというのは口で言うほど簡単ではない。それぞれの守備の仕方だけでも、もしそれが簡単であったなら、ジダンもそうしているに違いないのである。(攻撃に使い分けも難しい。相手に引いて守られたケースの攻撃に成功していたのは、シャビ、イニエスタが揃っていたチーム以外には存在していないのではないだろうか?)
☆ ☆ ☆
さて、ではエンリケはどうしているのであるか?
驚いたことにエンリケは、守備時には4-4-2のゾーンディフェンスを採用しているようだ。それもかなり洗練された4-4-2なのである。
具体的には、バルセロナが相手にボールを渡し、相手にボール回しをさせている時間帯、もちろん最終ラインは、アルバ、ピケ、マスチェ、アウヴェスというようにフラットに並べている。さて、問題は中盤である。中盤は本来は3枚。しかし、例えば、左サイドから攻撃されているときは、左からネイマール、イニエスタ、ブスケツ、ラキというように、フラットに並んでいるケースを多く見かけるようになった。メッシはほとんど歩いているが、スアレスはご存じようにメッシ分も動いてプレッシングをかけている。
逆に、スアレスが4枚のフラットな守備に加わっているときもある。メッシも稀にある。つまり、FWのうち1枚が中盤と合流して、フラットラインを形成するのだ。
これに最終ラインの4人を加えて、2ラインの守備陣形を整え、中盤のスペースを埋めようという工夫をしている。そこからスタートして、場合によってはアンカーのブスケツが相手のDFめがけて、ボールを奪いにゆく姿さえ見かける。
この2ラインの形成については、イニエスタがかなり首を振り、ネイマールを呼んで守備をさせていることから、ほぼ確実なところと思われるが、現在までのところ、評論家や解説者の誰も指摘していないのではないだろうか?
みなも、リーガでバルセロナ戦を見ることがあったら、是非確認してみてほしい。
☆ ☆ ☆
さて、最近ずいぶんブログの更新をしなかった。これはすべてわしの怠惰のなせる業で、すまぬことである。ところが、この間もずっと毎日4人くらいの人がブログを確認してくれていたようで、今月だけでも100人を超える人がアクセスしてくれたようじゃ。
まったく有り難いことじゃ。
こらからわしは心を入れ替え、ブログを書くぞよ!
モデル
サッカー界では様々なことが次々に起きていて、考えることの多い日々である。
だが、個人的に仕事の締め切りが間近に迫っており、青ざめたり真っ赤になったりして過ごしている。
ペンタなのじゃ。
☆ ☆ ☆
さて、高校サッカー選手権を数試合見た。嘆かわしいことに、一部の高校は、パスではなくクリアのように前線に蹴っ飛ばすサッカーをやっていた。あんなことをするのであったら、何もサッカーを子の頃から学ぶ必要はなく、ただ空振りせずに蹴っ飛ばすことだけ覚えればよい。
指導者たちは、そういうことをよく考えてほしいものだ。
あれはサッカーではないと、わしは思う。
その中では、決勝に進出した2校はまともなサッカーをしていて、ほっとした。特に久我山のパスサッカーはなかなかのものだ。
一人一人のボールの受け方、ターンなどに目を瞠るものがあった。そういう技術では抜きんでていた。わしの好みの選手の多いチームだった。
だが、東福岡に完敗してしまった。何が足りなかったのか?それは現在考えているところだ。
☆ ☆ ☆
年末には、2本ほどラグビー代表の特集番組を見た。いかにして、あの奇跡は起きたのか?
それは緻密な戦術と身体能力のアップである。
一つだけ、書いておくとディフェンスのやり方がすごい。
日本人は1対1では相手の選手を止められないので、二人がかりでタックルをしてつぶすという守備戦方法を採用した。これは必然的に守備時の人数が足りなくなる。そこでタックルした後にすぐ起き上がる練習を徹底したのだ。転んだ状態では、役にたたない。だからすぐに起き上がる。そしてまた守備につく。
「1対1では勝てない」という諦めからの発想。簡単に言えば、逆転の発想だが、スポーツの世界でこれをやるのは本当に厳しい。
それをやり切ってしまうのだから、本当に大したものじゃ。
だが、論理的には「これしか活路がない」という正しさがある。筋肉と脂肪が足りないということは、一瞬のパワーには劣るが、身軽さと持久力では有利に働く。
それから、ゲーム終盤でスクラムで勝ってしまうというのもすごい。相手の方が消耗し、スクラムでもこちらが勝てる状況になる、という設定がすごいじゃないか。自分たちの持久力への絶対の自信。
それが現実になり、相手を恐怖に陥れる。
これを現実にするには、無茶苦茶なトレーニングが必要だったようだが、論理的には正しいことを再び確認しておこう。
☆ ☆ ☆
先日は、澤の特集番組を見た。
わしも、北京オリンピックの予選で盛り上がった頃から見始めたミーハーなのじゃが、なでしこのひたむきさは、澤その人のひたむきさであったのか、と改めて感慨深く思った。
「魂」というものが存在するとすれば、澤の姿にこそ、それを感じる。
☆ ☆ ☆
ジダン監督の就任初戦を見た。ジダンが言うには、「クリロナはレアルの魂」なのだそうじゃ。じゃが、果たしてそうじゃろうか?
クリロナには幼いころからのエピソードにも非常に危ういところがあって、わしは近頃気の毒な感じがしてしかたない。才能は限りなく世界1に近いが、人格はハンデキャップのある人たちに近い気がしてならない。振る舞いにも、自己中心的なところばかり目立つが、そんなんで果たして「魂」と呼べるものなのだろうか?
まぁ、世界的な才能のある人たちには、そういう人が多いのじゃけれども。
☆ ☆ ☆
おっと。
本日の10時から、U-23の北朝鮮戦が放送になる。それに触れなければならない。
日本が入ったグループには、北朝鮮、サウジアラビアという強豪がいる。(もう一つの方のグループも楽ではないが)、これにタイを加えた4チーム中2位だけが決勝トーナメントに進めるという条件は、かなり厳しい思う。
U-20W日本代表が、アジア予選を勝ち抜けなくなってからしばらく経つが、オタオタしていると五輪に行けなくなる日が来るのではないか?
その始まりの日が今日でないことを、心から祈る。
☆ ☆ ☆
さて、人間の成長にはモデルが必要だ、ということを、わしはたぶん昨年の9月くらいから繰り返し書こうとしていて、書けないでいる。
でもって、今日もなんだか核心には触れられないまま、そろそろ仕事に戻ろう。
生き延びれるのか?
バルセロナを旅行したあの年に抱えることになった負債を、ほほ返せる見通しがたったこの年の瀬である。
やれやれ、わしは生き延びたのじゃ!
じゃが、これから1月末までに80頁の本を2冊執筆・編集しなくちゃならんのに、まったく図面や原稿も仕上がる予定がたっておらん・・・いったいどうなるのじゃ?
しかも、11月から続くパソコントラブル。わしはKMまっしぐら並みにクラクラしながら年末を迎えた。じゃが、どうやら今日一日で、パソコン関係のトラブルは収まったようだ(ただし一部携帯のメールは不通のまま。こちらから連絡しても受信キャンセルされる)。
じゃが、なにやらほっとしたのか、どっと疲れが出たようで、やたら眠いのである。
どっこい生きてるペンタじゃぞーい!
☆ ☆ ☆
さて、アーセナル対サウサンプトンを見た。レスターが負けたことにより、このホームでのゲームに勝てば今季初の首位に踊り出るはずだったアーセナル。従来のポゼッション重視、パスサッカーから、少しカウンター志向を強めたそうで、それが奏功して最近好調であった。
このチームの変化のさせ方は、従来のカウンター志向にポゼッション風味も加えようとしているレアル・マドリーや、バイエルンの方向性とは逆で、ちょうどバルセロナの方向と一緒である。
数年前、ポゼッションの代名詞であったバルセロナは、ご存じのとおり現在MSNトリオのカウンター志向の強いチームへと変貌しつつある。
じゃが、カウンター風味を加えることは実はそうそう簡単なことではない。
わしが以前から言っているように、カウンターチームはよりカウンター色の濃いチームに弱く、あしたのジョーのようにクロスカウンターのカウンターを食らってやられてしまうのに似た、弱みを持つことになるからである。
この日のアーセナルも、下位のサウサンプトンに0-4で負けてしまった。
カウンターチームの弱みとは、一言でいうと、これは以前も書いたことじゃが、攻撃時に陣形が間延びしてしまうことにある。
鋭いFWによるカウンターは、それで決めきってしまえば問題ないのじゃが、決めきれずに守備に回った瞬間、どうなっているのじゃろうか?鋭いFWの攻撃が、鋭ければ鋭いほど、中盤、ディフェンスもそれについてゆくことができず、陣形は見事に間延びしてしまう。
サウサンプトンには、荒削りながらスピードのある選手がかなりいて、見事にカウンター志向のアーセナルに、逆カウンターをかまし、粉砕してしまった。アーセナルは炎上し、まる焦げになった。
アーセナル側にも当然スピードのある選手はそろっているのじゃが、彼らにパスを供給するエジルが封じられてしまうと、チャンスを作ることが出来なかったのじゃ。
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さて、ここで幾つかのことを考える必要な点がある。
現在、世界で覇権を争うチームは、かなり雰囲気が似て来ていて、主導権を握れる力を有しつつもカウンターも切れる、そういうチーム作りが多くの現場で行われている。
逆に、カウンターも切れるが、主導権も握れるように変化させようとしている。
ウィンが―もしくはトップに、ディフェンダーをぶっちぎってしまえる能力のある選手がかなりいる。
逆に言うと、スピードのある選手がいないチームは、効率的に決定的なチャンスが作りにくい趨勢になっている。
考えるべき一つの点は、日本もこのスピードのあるタレントをうまく使えるようにならないといけないのではないか?ということだ。日本人にもかつて、そして現在もスピードのある選手はかなりいた。しかし野人岡野をはじめとして、こういうタイプがあまり大成したことがない。
これは、本人にも原因があるのじゃろうが、彼を使う中盤や監督にもアイディアが不足している可能性が高い、とわしは睨んでいて、結構なんどもブログに書いている。
(この悩みは、オヤックスにも当てはまる。うちにはKMまっしぐらという快速フォワードがいるのじゃが、彼をうまく活かせないゲームというのが結構あるのである。ま、それはまた考えることとしよう)
スピードのある選手というのは、まず優先的に欧州のクラブチームで使わているという現状があるにもかかわらず、日本ではまだまだこの手の選手を活かすアイディアが不足している(一言でいえばカウンター下手)、というのが考えるべき一つの点である。
そもそも、Jリーグ特に、J1では、この「スピードのある選手を育成しよう」という気があるのじゃろうか?わしには、あんまりない気がする。高校生には、この手のウィンガ―を多く見かけるが、プロでは通用しないのか、通用するように育成するつもりがないのかと言ったばあり、わしは後者である気がしてならない。
もうちょっと、スピードがあるということの素晴らしさを認識したほうが良いのじゃなないのかな?
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次は、快速フォワードと香川タイプの組み合わせという流行についてである。アーセナルでは、この香川タイプをエジル(オジルじゃないよ)がやっているわけである。密集のなかで狭いスペースでもプレイが出来、ターンし、ちょっとしたドリブルをしかけ、周囲にパスも出せ、自らもゴールを狙える。
世界は、実は、スピードタイプだけでは勝ちきれないことも知っているのである。
世界標準のなかにおける日本人に期待されている役割というのが、見えてくる。
次は、カウンターとポゼッションのバランスをとるとして、どうやって守るのか?という点である。
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これは、実は世界中の監督が現在悩んているはずのことで、そんなものが分かっていたら、きっとわしも欧州から電話がかかってくることじゃろう。
なので、とても正解を書けるわけではないのであるが、ここでは一つだけ、バルセロナのインサイドハーフ、ラキシッチケースを見てみよう。
ご存じのとおり、バルセロナは4-3-3システムで、守備にはあまり向かない。アンカーであるブスケツの左右はスペースができやすく、必ずこのシステムの弱点となる。先日、ラージョにやられていたレアルもクロースの左右を使われ、カウンターを浴び、みるまに逆転されていた。
以前のペップ-シャビはどうしていたかというと、簡単に言えば、ここで圧倒的なボール支配をしていたわけで、要はボールを取られるようなことをせず、攻撃し続けていた、ポゼッションをしていたわである。でも、ときどきやられそうになるとき、シャビは何をやっていたかというと、一番嫌らしいパスコースだけ切っていたのである。
じゃが、エンリケ-ラキシッチはそうではない。だいたいエンリケはラキシッチにさらなる試練を与えた。この右サイドにメッシを置いた(戻した)のじゃ。
メッシも、バルセロナ育ちであるので、周囲との連携が下手ということはまったくない。じゃが、他方で彼は王様でもあるので、ポジショニングはかなり自由である。つまり、ボールに触りたくなると下がってくるのである。しかも、守備はあまりしない。やるときはやるが、やらないときはまったくやらない。気まぐれであり、試合が始まってみないとわからない(多分、本人にも)。
シャビ以外、チアゴ・アルカンタラも、ラフィーニャも、セルジ・ロベルトもこの自由なポジションのメッシさんには頭を痛めた(セスクはかなりうまくやっていた)。
メッシが下りてくるとポジションが被ってしまう。ポジションが近くなり良いこともある。この右サイドで数的優位をつくりだしショートパスで崩すのか?と思っていると、しかし、メッシさんはどんどん一人でドリブルをしかけてしまう。次第に、邪魔だお前!的な扱いを受ける。うう!おいらをどこへ行ったら良いのじゃろう・・・これでみんな悩んでしまった。
しかも、右サイドにはダニ・アウベスさんがいる。このお方も攻撃を宿命づけられた御方で、ふと気が付くと、がんがんドリブルであがっていってしまう。下手をすると、右サイドは全員が攻めあがってしまう。まぁまるでオヤックスのようなってしまうわけである。
このエンリケバルセロナの右サイドで守備のバランスをとるのは難しい。多分、世界でも有数の難しさである。しかも、メッシさんも、アウベスさんも、結構奪われるじゃないですか!
実際、ラキシッチも最初は混乱していた。メッシ、アウベスとポジションが被り、効果的な攻撃も、守備の安定ももたらすことが出来なくなっていて、居心地悪そうな試合もあった。
じゃが、それもすぐに解消される。
まず、メッシが下がって来たときには、彼はスアレスの横、フォワードの位置にいて、身体の大きさを使ってポストに入るとこがある。メッシはドリブルをしたい人であるし、スペースを与えた方が気持ちよくプレーができることを察知して、彼はメッシと上下を入れ替わることを考えたのじゃ。
この場合、守備はアウベス、メッシ、ブスケツに任せることになるが、こういう思い切ったポジショングはすごい。新入りの癖に、守備は皆さんに任せた、というポジショニングである。
次に、アウベスさんが上がりたそうな雰囲気を漂わせている場合では、ラキシッチは守備のことを考え、ちゃんとアウベス、メッシの下で控え、彼らの攻撃を支えている。
このような場合では攻撃時でも、ラキシッチのポジジョンは、守備に非常に気をつかった位置であることが多い。具体的にはサイドから相手に突破されることをケアしているケースがかなり見られる。つまり、アウベスと役割を交代しているのじゃ。
そして、カウンターを浴びたとには体を張る。シャビとは異なり、パスコースを消すだけでなく、身体をぶつけ相手をサイドラインへ追い出す。パスの出所にアタックをかける。
バルセロナの中盤の選手としてはスピードのあるタイプで、ペナルティエリアまで戻って守備している姿もよく見かける。
そう。ラキシッチは、身体の大きさとハードワークで、シャビとは全くことなるポジショニングでバルセロナに適応したのじゃ。
また、現在のカウンター志向を強めたバルセロナは、この身体が張れ、守備にハードワークできるラキシッチがいるからこそ、成立している可能性がある。
カウンターのカウンターを浴びたときに、ラキシッチであれば最初のパスの出所、収まりどころをつぶせるからである。
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さて、まとめよう。
守備というとどうしても戦術論に陥りがちであるが、こうしてみてくると、選手の個性と強くかかわってくることが分かる。
しかも、サッカーにおける攻撃と守備は、コインの裏表であり、つねにコインはくるくると回転している。
選手個々の攻撃の特性、守備の特性が、局面の変化とともに、現れたと思っては消え、消えては現れる。
目もくらむようで、美しい。
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そうそう。わしは先日、『サッカー守備戦術の教科書』という本を買った。これを片手に、欧州リーグを見るとなかなか楽しい。
じゃが、本として出来が良いかというと、まぁ60点くらいではないかと思う。
目の付け所は100点であったのじゃが、まとめ方は雑誌の記事を少しずつ継ぎ足したようなものにとどまっており、もったいない。一言で言うと、「体系化」というものが出来ていない。
現場の監督の仕事というのは、教科書に沿って基本1から2というように進めるトルシエのような人と、チームの課題を探り出し変更を加えようとするアギーレのようなタイプがいると思うのであるが、この著者がいうように、日本のプロサッカーが充分にゾーンディフェンスを学んでいないということが本当であるのなら、トルシエ形のように基本1、2、3と説明すべきことが望まれる。
だが、本の形式は、現場主義、問題修正主義なのである。
続編が期待される。
今夜はまじめだったなぁ・・・・
伝説にするな!後を継げ!
今年も年末になり、一年間なんとかフットサルを続けられたことに感謝を感じなくもないわしである。
わしらは毎週日曜日の夜18時30分から21時まで何チームかが集まって、フットサルをするのじゃが、わしは多分去年の秋くらいから、20時を過ぎたあたりから「ああ今週もフットサルが出来たなぁ」と感謝のようなものを感じる。そして、「今日が最後かもしれないなぁ」と「じゃ、もう少しだけ頑張るのじゃ」と疲れた体に鞭打ったりするのである。
ペンタです。
さて、書きたいこと、記録しておくべきことは多いのじゃが、最近のわしはサッカーと言えばディフェンス、である。
とは言うものの、少し近況を書いておこう。
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20日の日曜日、フットサル大会であった。わしらは2チームで参加。オヤックスとオヤコックスである。
オヤコックスは、タツとタツノコその他日曜日の若い衆。オヤックスはいつもの年寄メンバーで臨んだ。
どちらも交代メンバーがいないギリギリの人数であったが、自分たちの強さも弱さも出せて、なかなか良かったのではないだろうか。
大会には、タツノコの他にももう一人こないだの県予選決勝先発メンバーも来ていて、彼は強いチームに所属していたので、チームは優勝し彼は決勝ゴールを決めてMVPを受賞した。表彰され、嬉しそうにして帰っていった。
タツとタツノコも何とか賞を2名でもらっていて、タツもなんだか嬉しそうだった。タツノコは、フットサルの日本代表に選出されたとかで、大阪まで合宿に行ってきたそうである。
ところで、大会の後、例によってマサのところで飲んだ(そしてcwcを見た)のであるが、KMまっしぐらのモモの筋肉が何度もつって大変そうであった。
cwc決勝は、あまりにもヨーロッパとその他の地域のレベルの差が開いてしまい、内容は、ないよう。
いくらバルセロナが相手とはいえ、リーガで対戦するチームは、それぞれ工夫して対戦するし(その工夫の仕方が面白いのであるが)、最近のバルセロナは一時の天下無双という状況から一旦調子を落としてしまっている状態であったし、しかもメッシもネイマールも怪我、病気開けでもあったし、さらに実は中盤には控え選手が不足気味でブツケツは絶対披露しているであろうし、こういう条件からすれば南米王者にも充分付け入る隙はあったのである。
じゃが、思った以上に、南米にはタレントがいないようである。というか、欧州に吸い取られた後の、カスだけが残っているわけである。
以前は、若い、ピッカピッカのスターがいた(ネイマールとかさ)ものじゃが、どうしてしまったのであろうか・・・・
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さて、この27日にも、わしらはフットサルをやった。先週よりもさらに良い感触じゃったのじゃが、それもそのはず、今週はタツとT先生も加わったのである。
それから、わしも12月に入って地味に体調がよい。まず左膝に少し体重がかけられるようになって来た。これでちょっぴりターンができるし、右前方へのドリブルもできるようになってきたのである。
ただ、10月に、水泳教室で50%くらいの力でバタ足をやってみたら、久々膝崩れを起こしてしまい、「やはりこっちの膝には靭帯がねーや」と、気がついたのである。こんなんで、ドリブルして良いのか?とときどき思うのであるが、やってしまうのである。
さらに、高校2年の夏にぶっこわしてしまった、右足首も、なんだか調子が良いのである。こちらは、伸ばすのも曲げるのも難しくなっていたのであるが、最近、夜眠るときに、なでなでしがら、「お前さぁ、少しは動いてくんね?」とお願いしているのが、通じたらしく、アウトにかけてボールを持ち出したり、27日はとうとうインステップキックも出来たのじゃ!
この、サッカーの基本中の基本である、インステップは、強い左脚で踏み込む必要がありし、その挙句に右足首でボールをミートするわけで、左膝、右足首とも不自由なわしにとっては、かなーり難しい技術になってしまっているのじゃ。
まぁ、こんなんでよくサッカーを続けているものよと思うのじゃが、ま、良いことにしよう。
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ということで、ごく簡単に近況を報告済ませたが、はて、何を書くのじゃったか?
そうそう。澤が引退してしまった。
澤は、15歳でデビューした当初何もかもを背負ったエースだったんじゃないだろうかと思う。日本のレベルがそれだけ低かった。
しかし、まず「うまい系」では宮間が現れた。絶妙なパスやアシストは宮間に任せることが出来た。次に、大野が現れた。ドリブルは大野に任せる。さらに阪口が現われると、視野の広さ展開力も任せた。川澄が現れると、サイドは彼女に任せる。そうして、自分は泥臭さを引き受けた。ハードワークと運動量を自らの特徴として、これは手放さなかった。こういうエースがかつていただろうか。しかも澤がもう一つ手放さなかったものがある。それはチームが得点がとれずに窮したときに発揮する決定力。
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さて、わしは以前、日本の育成は停滞しているのではないじゃろうかと書いたことがある。
そう思う理由を書ききっていなかったのであるが、日本の育成がうまく行っていないと思う最大の理由は、「後継者不在」である。
たとえば、わしらの記憶に鮮明な、小野伸二。彼の後継者はいるだろうか?
小笠原の後継者はいるだろうか?遠藤の後継者はいるだろうか?
それどころか、長友の後継者、ウッチーの後継者もいるのだろうか?
こういう、日本人が世界に誇っていい、レベルの選手の後継者が育っているのじゃろうか?
センターバックやフォワードの話は、別のことにしよう。この二つのポジションの育成方法を日本人はまだあまりよく知らないわけで、「後継者」という話をするレベルに達していないわけである。
さて、最近欧州リーグで活躍している日本人は、多くが似たタイプである。香川、乾、清武、なんなら柿谷、原口まで少しずつ個性はあるが、どれも似ている。中盤の攻撃的な選手である。
これは、日本人の指導者がこういう選手ばかりを作りたいと望んでいるのか、子どもの方がそういう選手になりたいと思ってしまうのか、とにかく「香川に似たタイプ」がどんどん現れ、ほかのポジションはどんどん手薄になってしまっている。
他のポジションで言うと、せいぜい長谷部、細貝、山口が思い浮かぶくらいだ。
中盤でも、展開屋が育っていないのが、明瞭である。
あんなにお手本がいいぱいいたのに!
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これは、日本人のミーハーさが関係していうのではないかと思う。
☆ ☆ ☆
日本人のミーハーさが最も現れているのは、地デジスポーツ放送である。
パターン1 ジャニーズの番組のようなスポーツ中継。一時日本のバレーボール中継は、ジャニーズのコンサートと特別がつかなかった。こないだのcwcでも手越などが出演していたが、ジャニーズの力を借りないと、視聴率が稼げないのであろうか?少なくとも、ジャニーズとスポーツは、関係ないでしょ?中継のレベルを下げるだけである。
パターン2 ハロウィンと同じような流行にのることしか考えていない輩。渋谷や道頓堀に集まって、ばか騒ぎをするのが目的であって、スポーツとか関係ない人々。それを前提にして中継されている、放送局のレベルって、こんなこといつまで続けるの?
パターン3 youtubeミーハー。ゴールシーンばかり見る。それって90分ゲームのなかで、せいぜい30秒くらいなものですけど、それでサッカーがうまくなるんでしょうか?
パターン4 海外ブランドに夢中。バブルの頃、おっさんがキャバクラのねーちゃんのために、おばはんが自分のご褒美のために、夢中になって海外ブランドのバッグを買い漁ったのであるが、ああいうことが日本のバック文化を少しでも向上させたかというと、まったく何も起こさなかった。彼らはビトンから何かを学んだのか?彼らは本当にそのバッグを愛したのか?そうじゃない。海外ブランドで自分を飾りたかっただけである。一度本当にバッグを愛してしまったら、そのバックがどんな風に作られているかを知りたくなるはずだ。で、バックを分解することなる。そして自社のバックと何が違うが、比べる。日本のバックと何が違うか、考えることになる。
たとえば、今年行われたショパン・コンクールという、ピアニストのコンクールでは世界最高峰のファイナリスト10人に、選ばれたピアノメーカー(出場者は5社から選べる)は、スタンウェイ3台で、ヤマハが7台であった。カワイもワルシャワではかなり愛されている。残念ながら、1位から3位まではスタンウェイが独占していたが、ヤマハの世界への肉薄ぶりはほんとうに大したものだった。
他方で、わしの住んでいるNG市には、あほーれにもへへっくにも、夕日酒造のエントランスホールにもスタンウェイばかり並んでいるのである。
おいおい。ヤマハと、日本のピアノ文化を作らないのかよ、スタンウェイさえ買えばそれで一流に近づくと思っているのがみえみえじゃないかよ・・・まったくこういう土壌からは文化は育たないし、何も生まれない。何故なら、音ではなくブランドを買って済ませているのじゃから。
☆ ☆ ☆
さて、サッカー中継で、サッカーをよく「分解」してくれる解説者というものも、日本にも実はいる。
わしの最近のお気に入りは都並である。
☆ ☆ ☆
というわけで、偉大なる澤を伝説にするのではなく、ちゃんと後継者が育てられるようにせんといかんのじゃね?
あの泥臭さにこそ、憧れてほしいものである。
さむ。今夜はこの辺で!